『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムスの書評です
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『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス

 出だしがちょっともたつく感じがしたので、これは失敗したかなと思ったが、そこを我慢すればもう大丈夫。あとは間違いなく「銀河ヒッチハイク・ガイド」の中に引き込まれること請け合いである。

 作品はSF宇宙コメディという感じ。1979年にイギリスで出版されたということだが、まるっきり古さを感じさせない。英語ネイティブでイギリス事情に詳しい人が読めば相当笑える作品らしいが、さすがに翻訳では笑えるほどではない。が、物語の展開の意外さ、発想の豊かさは特筆ものだ。しかも適当に意外なエピソードを挿入しているだけかと思えば、意外と構成は緻密にできていて感心させられる。

 読後感も悪くなく、かなり楽しめる傑作。続編が4冊ほどあると聞くと、全部読みたくなるような作品である。

銀河ヒッチハイク・ガイド
発  行:2005年9月20日
出版社 :河出書房新社
ページ数:289ページ
訳  者:安原和見

ここからは小説の内容について触れるため「ネタバレ注意」。まだ本書を未読の方は読まないでください。

P.258
わたしはやっぱり、正しさより楽しさを追求するほうがずっとよいと思う。

 たぶんこれは、作者の信念でもあるのだろう。

P.265
「自分の生きかたと仲直りできるとよいな」

P.287
「簡単なことですよ。退屈で気が滅入ってしかたがなかったので、船のコンピュータの外部接続に自分で自分を接続したんです。それでずいぶん長いこと話をして、わたしの宇宙観を説明したんです」
「そしたら?」
「自殺してしまいました」マーヴィンは言って、〈黄金の心〉号にひっそりと戻っていった。

 マーヴィンは鬱のコンピュータ。その鬱コンピュータの話を聞いて別の宇宙船のコンピュータが自殺してしまったという話。これは笑えた。

P.288
 主要な銀河文明の歴史には例外なく、それぞれ明確に異なる三つの段階が認められるようである。すなわち、生存、疑問、洗練の三段階であるが、これはまた、いかに、なぜ、どこの段階とも呼ばれている。
 たとえば、第一段階に特徴的な問いは「いかにして食うか」であり、第二段階の問いは「なぜ食うのか」であり、第三段階の問いは「どこでランチをとろうか」である。

 作中で登場人物が読む『銀河ヒッチハイク・ガイド』の記述。

P.293 解説から
 奇想天外なアイデア、意表をつく展開、宇宙的規模の深遠な真理の探究と三拍子そろっているうえに、イギリスふうの皮肉で飄々とした語り口のおかしさも、またたまらない魅力になっている。

 たしかに。ただ「宇宙的規模の深遠な真理の探究」はちょっと言い過ぎか。

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