『流星ワゴン』重松清の書評です
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『流星ワゴン』重松清

電子書籍版はこちら → 流星ワゴン (講談社文庫)

 なんとも重苦しい内容である。この作者の作品は社会的弱者を扱ったものが多いと聞いていたので、それは一応織り込み済みだったのだが、ここまで扱いが下手だとちょっと読後感が悪過ぎるという感じだ。作家自体はかなり評判がいいようなので期待していたのだが(この作者の作品は今回が初めてだった)、残念ながら大ハズレだったようである。

 おそらく自分の作家としてのテクニックを過信してテーマを広げ過ぎたのだろう。この作品を通して語られるのは、二世代に渡る父と子の問題、継父と子の問題、妻の不貞によって壊れかけた夫婦の問題である。そこに小ネタ的にリストラや子どものいじめ問題をまぶしている。
 しかし、いずれの問題もなぜそうなったのか、どうすれば良かったのかなどの提示が弱く、作者自身の消化不良を露呈してしまっている。 「それが狙いなんだよ」という意見もあるだろうが、少なくとも私はそうは感じなかった。

 ストーリーは流星ワゴンという仕掛けを使って組み立てられていく。物語を楽しむ上で、突拍子もない仕掛けを使うのは私自身も好きなのだが、それを限りなく自然に感じさせないと物語に入り込むことができない。その点でも本作は失敗している。

 う〜ん、どうもいいところが見つからないなぁ。登場人物たちもみんな魅力に乏しいし……。この作者、主人公に無理に話させ過ぎる傾向があるみたいだし(まぁ、まだ1冊しか読んでないから断定しちゃいけないだろうけど)……。

 ということで、本作はほかに読む本が何もないというときにお勧めである。

(追記)
 ずいぶんけなしてしまいましたが、一応重松氏としては、提起したいろいろな問題についてはっきりとした答えは用意しなかったものの、「若干の希望を残したんですよ」という感じなのだろう。

 ですから、もともと暗目の話が好きなんだという人や、重松清作品がわりと好きという人は楽しめるかも……。

流星ワゴン
発  表:2002年2月
出版社 :講談社
ページ数:389ページ(2002年2月刊行単行本)
ジャンル:現代小説(リアリズム+ファンタジー)

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