アルベール・オーリエの評論

 1890年2月、テオは「ル・メルキュール・ド・フランス」誌の1990年1月号をゴッホに送ります。その雑誌には、若い美術評論家アルベール・オーリエによる「孤独の人びと」というゴッホの絵を絶賛した評論が掲載されていました。

 「フィンセント・ファン・ゴッホの作品を特徴づけているのは、その過剰さである。力の過剰、神経の過剰、表現における暴力である。事物の性格の断定的表現、無謀なほどの形態の単純化、太陽を直視する昂然たる態度……。(中略)この頑固で一徹な生来の画家は、巨人のような荒くれた手と、ヒステリックな女のような繊細な神経を持った、頑健なきわめて血統の正しい真の芸術家だ。今日のあわれむべき美術界に収まるすべもないが、いつか正当な評価を得て復権し、流行の寵児となる日がくるであろう」

 この評論を読んだゴッホは、長文の礼状を書くほど喜びました。しかし、すでに精神を病んでいた彼にとっては、ようやく1枚、作品が売れたことと同様、遅すぎた慶事に過ぎませんでした。

 せっかく画家としての将来に光が射しはじめたというのに、1890年7月、ゴッホは拳銃自殺を図り、37年の短い生涯に自ら幕を降ろしてしまいます。

2009年2月8日(日)編集

【参考文献】
知の再発見叢書3 ゴッホ パスカル・ボナフー著 創元社
ゴッホのフランス風景紀行 佐々木三雄・綾子著 求龍堂 1999年