
ゴッホが生きている間にたった1枚だけ正式に売れた絵が、この《赤いぶどう畑》。ゴーギャンとアルルの黄色い家で暮らしていた時に描いた作品です。1890年2月にベルギーのブリュッセルで開かれた20人展に出品され、400フランで売れました。
買ったのはゴッホの友人であるベルギー人画家ボックの姉アンナ・ボック(この人も画家)でした。
この喜ばしい出来事は、テオからの手紙でゴッホにも知らされます。しかし時すでに遅く、ゴッホは精神に異常をきたし病院に入院していました。
運命はときどきこのようなイタズラを働きます。あと半年早く、絵が売れれば……。あと半年早く、アルベール・オーリエの評論が発表されれば……。無意味とはわかっていても、そう思わずにはいられません。
【参考文献】
知の再発見叢書3 ゴッホ パスカル・ボナフー著 創元社
週刊西洋絵画の巨匠1 ゴッホ 小学館
ゴッホのフランス風景紀行 佐々木三雄・綾子著 求龍堂 1999年